はんぞーのブログ

旧・音楽とはすばらしいものだ。

BRAHMAN「霹靂〜FINAL〜」@幕張メッセ

ついにBRAHMAN幕張メッセという過去最大級にでかいステージでワンマンをやる。
そしてそんな大舞台に集うゲストは「CUBISMO GRAFICO FIVE」「Ken Yokoyama」「難波章浩」。
つまり横山・難波・恒岡という、ハイスタの3人が一堂に会す。
しかも公式アナウンスではゲストが「and more」のまま、当日になっても発表されない。
「これはつまり・・・そういうことなのか?」と誰もが想像してしまう。
むしろ想像せざるを得ない状況。


そんな主役とは別の側面からも注目を集めたこの日のライブ。
台風のような暴風雨が吹き荒れる中、15時半開演というワンマンでは異例の早期スタート。
会場には歴戦のBRAHMANファンが集いグッズ列に長蛇の列を作る。
会場内にはフードコートが10店舗程度出店するというのもワンマンとしては異常だ。
ライブエリアに目をやるとステージは遥か彼方。
こんな馬鹿デカい会場でBRAHMANがライブをやる、そしてこんな集客がある。
それだけでまずは胸が高まった。


トップバッターはキュビズモ、続けて難波。
ここで難波が早くもハイスタの「STAY GOLD」を投下。
曲が始まるや会場外から会場内に、そしてステージ後方から前方に走り出す客多数。
異常なまでの光景。
さらに難波は「California Dreamin'」まで披露した。
そして3組目のゲストはKen Yokoyama
GG11同様ストリップから始まるいつものKenさんらしいステージ。
だが途中のMCで会場の空気が一変した。
客のほとんどが思っていた「アレ」について言及した。

「今日はハイスタはやらない」
「ハイスタをやれば他のバンドメンバーもBRAHMANもみんなも喜ぶだろうけど」
「ただ一人喜ばないのが俺なんだわ」

と涙をこらえながら言う健さん
その覚悟はすごかった。
つまりは今回はあくまで「KEN BAND」として呼ばれている。
自分のバンドが出ている以上、ハイスタとはごっちゃにしたくない。
だから今回はハイスタはやらない。
それが彼なりの流儀というか筋だったのかなと。
その嘘偽りない姿勢と言葉に、さすがの客席も静まり返り、そして拍手を送った。
おそらく客の多くはハイスタの登場を期待していただろう。
無論自分もそうだ。
この日の主役はBRAHMANなのは分かっていても、ハイスタに期待してしまっていたのは否定できない。
だが今回ハイスタをやらなくとも、残念な気持ちは少しも湧かなかった。
それぐらいKenさんの言葉には重みと説得力があった。
それぐらい彼らがハイスタをやるにはそれ相応の覚悟がいるのだろう。


MCの後にはカラッといつも通りのKen Yokoyamaのライブに戻った。
ゲストとしてイッソンが登場して初期ハスキンの名曲「WALK」を披露する場面も。
会場が一体となったシンガロングはさすがだ。
そして最後に「次はBRAHMAN!」と言い残してKenさんは帰って行った。
その清々しいまでのパフォーマンス。
彼が多くの支持者を集めている理由はここにあるのだろう。


ちなみにゲストの「and more」とは当然ハイスタのこと。
と言うのもTOSHI-LOWが最後までハイスタをゲストとしてステージに上げたかったらしい。
だがTOSHI-LOWの想いは届かなかった。
しかもここまでの3組はさすがのパフォーマンスでもって会場を暖めている。
このような状況でBRAHMANが燃えないはずはない。
恒例のSE「お母さん、お願い」が流れ、これまたファイナル恒例の「幕映像」が流れる。
神々しい映像と音に息を呑む。
そしていよいよ主役が登場する。


この日の1曲目は「A WHITE DEEP MORNING」
そして曲が終わると、震災後のライブから恒例になっているTOSHI-LOWのMCが始まる。
静まる会場に響くTOSHI-LOWの声が響く。

たとえ無理だってわかってても
負けるってわかってても
絶望じゃねえよ
闘志が湧いてくんだよ
カッコつけて言ってるわけじゃない
懸命に生きたいだけだ
生きてる限り迷うんだろう
失うんだろう
それでも…
BRAHMAN始めます!

http://ro69.jp/live/detail/60467

その後はいつもの如く「The only way」のイントロが打ち鳴らされ狂乱の宴が始まる。
3曲目の「賽の河原」では左右のスクリーンにPVを基にした映像が流れる。
曲が終わると幕が落とされTOSHI-LOWの顔がアップで映される。
「ここに立つ!」からの「其処に立つ!」で「BASIS」に繋がるこれまた恒例の流れ。
以降も定番曲からレア曲まで打ち鳴らしていく。
この日の彼らのパフォーマンスはいつもに増して熱が篭っていた。
もちろん14000人という大観衆を前に最高のパフォーマンスを見せたかったんだろう。
そしてきっとハイスタの3人に対して見せ付けたかったという想いもあるんじゃないだろうか。
終盤の「PLACEBO」の前にはTOSHI-LOWがステージから客席へ。
多くの「BRAHMAN信者」に担ぎ上げられ「PLACEBO」を熱唱するTOSHI-LOWはまさに現人神を見るようだった。
歌い終わると再び静寂が訪れ、ゆっくりとTOSHI-LOWが語り始める。

どうも自分たちがメインだと駄目だな
13年前に98年のAIR JAMが始まるまだ前に
まだ俺がツルツルで
まだ体も細くて
今よりも中身がもっともっとチャラくて薄っぺらい時
ハイスタのFuckin' band boom tourに誘われて
13年前そこでハイスタと演って
俺が一生懸命跳んだり跳ねたりしたけど
最後ハイスタが演った時にまざまざと力の差を見せつけられて
まだそのころ敬語っていうジャンルの言葉を使えたから
横山に「横山さん」とか言って
「今日はイベント呼ばれたから俺たちがイベントやったら出てくれますか?」って言ったら
ケニーが「いや、ハイスタ出ちゃうと大事になるからだめ」って言われて
そこから13年間こうやって執拗に追っかけてきてんだけど
今日もスルーされちまったな
でもいいんだ
来年もあるから
俺、良く考えたらゴレンジャーでは青とか緑のが好きなんだ
ガッチャマンでいうと黒
バトルフィーバーでいったらバトルフランスかバトルコサック
知らねーだろうけど


だから来年
東北のAIR JAMで赤レンジャー待ってるわ


そうやってたくさんの人にぶちぶち言って
こうやって慣れもしねぇでけぇとこでやって
まぁ怒られたよ
俺たちが遊んでたライブハウスみたいな
値段でデカイ所で演りたくて
やってみたんだけど
赤字です
偉い人に「おいTOSHI-LOW、オマエ算数もできねえのか、このボケ!」って
散々言われたけどさ
俺、知ってんだ
夜勤明けでここ来てるやつ
少ねぇ小遣いの中からここ来てるやつ
高ぇ交通費払って全国遠いところから
東北から
三陸から
福島から
こうやって来てくれてんの知ってんだ


だからいいじゃねぇ今年ぐらい
今年ぐらい利益とか利潤とか
そんなもん追っかけなくたっていいじゃねぇ
今年ぐらい喧嘩してる手ぇ止めて握手したっていいじゃねぇ
今年ぐらい人のこと罵るんじゃなくて
人の悲しみに寄り添ったっていいじゃねぇ
今年出来たんなら
来年も出来んじゃねぇ
少なくともあの瓦礫の街に
もうちょっと火が灯って
放射能に怯えている親子がもうちょっと安心して暮らせるまで
そんぐれぇ
いいんじゃねぇ


適当に喋ってんだ
シーンとなんなくていいよ
でも結局
ありがとう


ちきしょう
言葉がつまっちまった


変わらない日常 変わらない世界 変わらない自分
雨の中ありがとう
本日 青天の・・・

淡々と語るTOSHI-LOW
それを黙って聴き入る大観衆
「霹靂」が流れ始め、TOSHI-LOWはゆっくりとステージに戻る。
そこにいる全員が「何か」を考えさせられる時間。
それは何とも表現しにくい空間。


「霹靂」の後にアンコールはない。
もちろん今回もない。
最後にモニターに被災地を支援する写真が写し出されていく。
全てが終わると自然と拍手が起こる。
こうして興奮と感動と、何にも替え難い感情を胸に、幕張での長い一日が終わった。

01.A WHITE DEEP MORNING
-MC-
02.The only way
03.賽の河原
04.BASIS
05.THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE
06.Speculation
07.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
08.DEEP
09.BOX
10.BEYOND THE MOUNTAIN
11.TONGFARR
12.最終章
13.ARRIVAL TIME
14.FOR ONE'S LIFE
15.SEE OFF
16.LOSE ALL
17.ANSWER FOR...
18.THE SAME
19.ARTMAN
20.PLACEBO
-MC-
21.霹靂