はんぞーのブログ

旧・音楽とはすばらしいものだ。

バベル見てきた

菊地凛子やフラッシュ効果で話題の映画。地元の映画館だと今週で上映が終わってしまうので駆け込みで見てきた。なのでこの下はネタバレちょこちょこあるよ。そんでもって別に細かなストーリーを記すわけじゃないので、この映画見てない人にはなんのこっちゃだと思うので見なくてもいいよw


この映画の評価は見る人によって大きく分かれると思う。
実際ネットで感想とか見てても意見が分かれてる感じだ。
たしかに「無難」ではないからね。
これカップルやファミリーなんかが「興味半分・冷やかし半分」で見るのはキツイだろうな。
ボクは面白かったと思った。終わった後に胸にグッと残るものが大きかったから。重いんだけどボクはそういう映画のほうが好きだ。軽薄のよりはよっぽどいい。
暴力シーンをはじめ倫理的に問題あるシーンは多かった。モロッコ人の少年の自慰シーンや凛子のオールヌードなんかが代表的か。
ただあれは受け止め方によって変わってくると思う。ただ「破廉恥・お下劣」と思うか、「心の葛藤ゆえの表現行動」と受け取るか。ボクはまあ後者だったわけだけど。
フツーの人がただ裸になるわけじゃなく、愛を渇望するが聾唖ゆえにコミュニケートできない凛子がとった行動がアレだったわけだから。
あと問題のフラッシュのシーンも、たしかに過剰だとは思ったけど、あの中に凛子の絶望感が増すシーンが含まれてるわけで、そう捉えるとあれも「アリ」だと思う。


ロッコ・メキシコ・日本の3カ国4ステージを中心にめまぐるしく進んでいく展開。終盤の「破滅に向かって一直線」に突き進む展開は、まさに「絶望」としか感じなかった。(オイラ、途中まで凛子は自殺するんじゃないかと思ってた・・・)
たしかにこの映画に登場する人間は、物語と同じように愚かなことをした人間が多い。
しかし映画のラストで「希望」は残されていた。
ネットを見ていて「テーマがわからない」ってのを結構見かけたけど、ボクは「愛に気付くこと」と「真のコミュケーションとは」ってのがテーマなんじゃないかなあ、と思った。
ブラピ夫婦は「夫婦愛」を、凛子は「自分を本当に受け入れてくれるリアルな愛と親子愛」にそれぞれ気付くことができたわけだから。
ロッコ人の少年とメキシコ人の乳母は、結果としてそれぞれ「兄」と「職(と子供代わりに接してきたブラピの子供たち)」を失ってしまい、代償はとても大きいものだったかもしれない。しかしそれでも「兄弟愛・家族愛」「親子愛」を手に入れることができたのではないかと思う。
コミュニケーションではタイトルの元にもなった「バベルの塔」の物語との関連性がある。まあ物語の内容を知らなくても伝わる人には伝わってるんだろうけど、知った上だと余計に納得できるかも。(ちなみにボクは中高がキリスト系だったんで知ってました。これマジ話でw)
元々一つであった言葉を人間の愚かな行為ゆえに神に分けさせられてしまった物話だが、この映画では言葉が通じない中でも最後に心は通じ合うことができるのだと言っている様に感じた。
ロッコ人ガイドの母とブラピ妻、凛子と刑事、ブラピの二人の子とメキシコ人の子供たち、などは直接的に言葉は交わしていないが最後には通じ合っていた。
「言葉より大切なものは存在する」


一番印象的な言葉は、メキシコ人の乳母の「私は悪いことはしていない。ただ愚かなことをしてしまっただけ」というような言葉。そうなんだよね。この映画に登場する人間は本当に悪い人間では無いんだよね。悪意は無い。ただちょっとした行動が結果として自分の運命を悪いほうへ悪いほうへと導く愚かな行動となってしまった。
自分もいつそういう行動を取るかはわからない。。
そしてラストシーン、にょきにょきとそびえたつ東京のビル群はバベルの塔を表現していたのではないか。そう言われるとなんか余計に納得した感じだ。
そして最後に凛子が刑事に渡したメモがとても気になる。遺書かな、とも思ったが、今は刑事への感謝の言葉なんじゃないか、と思ってる。


まあそんな感じで見終わった後でも残るものは大きい。
最近は「硫黄島からの手紙」とか「バベル」とか重いものしか見てないな。。まあ「スケバン刑事」みたいに軽いのよりかはよっぽどいいけどw