はんぞーのブログ

旧・音楽とはすばらしいものだ。

石山繁騎手が引退

第一報を聞いたときは「やはり・・・」という感想しか出ませんでした。。
通算勝利数92勝。関西でもそんなに存在感があるとはいえない騎手。
それでもファレノプシスとサイコーキララという二頭を語る時、彼の名前は必ず登場します。
デビュー時より素質馬と期待されていたファレノプシス。厩舎の期待馬の鞍上を任された石山は、新馬戦、さざんか賞、エルフィンSと無傷の3連勝を飾る。
そして98年のチューリップ賞を1番人気で臨むが、素人目にも分かる騎乗ミスで痛恨の4着。。
次走の桜花賞では武豊に乗り替わり、見事な騎乗でGⅠ勝利へと導く。その後も秋華賞エリザベス女王杯を勝利し、ファレノプシスのGⅠ勝ちは合計3つ。
結局チューリップ賞以降のレースでファレノプシスの鞍上に石山が指名される事はなかった。
そして約1年半後、石山はサイコーキララという牝馬と巡り合う。
ファレノプシス同様に、新馬戦、紅梅SエルフィンSと3連勝を飾る。
迎えた桜花賞トライアル4歳牝特。ここでも断然の一番人気に推されるが、2年前の悪夢を払拭し、今度は落ち着いた手綱さばきで勝利する。
その後の桜花賞オークスではやはり経験の差なども出て4着・6着と敗退。その後のキララはケガなどもあり未勝利で引退したが、2年前に苦い思いをした桜花賞のトライアルレースを勝利したことで、ファレノプシスでのリベンジ僅かながらも果たしたような感じがした。もちろんその後の大レースを落としたことは残念だが、重賞を勝利したということは騎手にとっても大きな勲章だと思うから。
ちなみに大レースでの二流騎手から一流騎手への乗り替わり自体は珍しいことではないが、98年のクラシックでは、セイウンスカイの徳吉→横山典の乗り替わりもあったこともあって強く印象に残っています。
そしてファレノプシスもサイコーキララも同じ浜田厩舎。
そのあたりに師弟愛・ロマン・人間臭さをとても感じました。
そんな浜田師も今月で引退。
所属厩舎がなくなっては、石山の引退も止む無しといったところでしょう。
ただ07年2月に落馬負傷して以来、どのような状態になっているのか知らなかったんですが・・・
http://t100take4.at.webry.info/200810/article_4.html
このブログには昨年10月に石山騎手にインタビューした時の状況が載っています。
植物状態とかは回避しているようだが、高次脳機能障害が出現して騎手復帰どころか日常生活に困難を来している状態。。外見は回復しているが、昨日の記憶が無くなるなど脳内に重い障害が残っている。。現実の辛さを感じます。。
そしてもちろん家族が一番辛い思いをするわけで。。家族が人間でなくなった状態を目の前にして、こんな状態ならいっそのこと死んでくれれば・・・と一瞬でも思う人がいるのも事実です。
しかし生きているということは、なんらかのメッセージを発しているわけでもあります。
石山騎手が障害を負ってもまだ幸せだと思ったのは、このような状態になってからも支え見守ってくれる家族や同僚や知人などが周りにたくさんいたということ。
リハビリや日々の生活は想像以上に困難なことだらけだとは思うが、部外者の自分としてはこのような「人の絆」というのに心の拠り所を見出してしまいます。
2年前に引退した常石も、2度目の落馬・脳挫傷の後遺症は重く言語障害が残っていると聞いたことはあるし、落馬して加療が続いている塚田も脳に障害が残っているようです。
騎手という仕事は常に危険と隣り合わせなんだと、石山騎手の引退で改めて思い直しました。
石山騎手の妻が書いた「落馬脳挫傷」という本も出版されているらしいので、機会があれば是非読んでみたいと思います。

落馬脳挫傷 -破壊された脳との闘いの記録-

落馬脳挫傷 -破壊された脳との闘いの記録-